リアルタイムに経営数字を把握し迅速な意思決定を実現

GVA法律事務所

事業内容:士業

URL:https://gvalaw.jp/

設立: 2012年1月4日

所在地: 東京都渋谷区恵比寿西一丁目7番7号 EBSビル3階

理念: 世界中の挑戦者を支えるインフラになる

グローバル化やテクノロジーの進歩により、激しく変化する現代のビジネス環境。近年、特に IT ビジネスにおいては、AI や IoT などの新しい技術を背景に、国内外で数多くの IT スタートアップ企業が誕生し、市場の拡大や技術競争は、ますます加速しています。

今回、事例でご登場いただく GVA 法律事務所は、そんな IT スタートアップ企業の法務支援を得意とする弁護士法人。どのような課題があり、リベロ・コンサルティングの業務設計によってどのような変化が起こったのでしょうか。

システム開発プロジェクトのリーダーを担当され、同事務所のパートナー弁護士でもある小名木 俊太郎さんに、お話をお伺いしました。

業務設計内容

  • kintone を使った弁護士受任案件の管理
  • TimeCrowd による弁護士の稼働工数管理と、kintone へ連携して案件ごとにタイムチャージの集計・分析可能なシステムの設計
  • 毎月の顧問料やタイムチャージ加算等を kintone から MoneyForward クラウド請求書へ連携し、取引先ごと・案件ごとの請求書作成を自動化

貴所の業務内容を教えてください

GVA 法律事務所(以下、GVA)は、IT を中心として、最先端ビジネスモデルの構築・運用の支援や、東南アジアにおけるビジネス展開の支援を提供しています。

IT の中でも、特に「スタートアップ企業」の支援に強みを持っています。

スタートアップの領域では、例えば「電子署名」のように、「最先端であるが故に法例がなく、法規制も追いついていない」というものも少なくありません。そういった領域にチャレンジする企業を、会社設立から IPO に至るまでの幅広いフェーズに渡り、支援を行っています。

現在、弁護士は 24名(国内24名)、海外の法曹有資格者3名(Not admitted in Japan)、司法書士 2 名、事務局・パラリーガルが 17 名所属しており、法律事務所としては中堅クラスの規模です。

また、代表弁護士の山本が代表取締役を務める関連会社の GVA TECH 株式会社では、AI による契約書チェックサービス「AI-CON(アイコン)」を提供しており、当所がその監修を務めています。

私は 2018 年にパートナーに就任し、弁護士業務とともに、 GVA の経営の意思決定に携わっています。前職では上場企業の企業内弁護士として働いていたのですが、その経験を活かして「企業実務に強い、経営者に寄り添って、その意思決定に直接繋がる法務サポート」を行うことを心がけています。


どのような課題をお持ちでしたか?

一般的に法律事務所は各弁護士が個別に仕事を持っているため、「個人事業主の集まり」のような側面があります。そのため、全体の案件管理というのはあまり行われていないのですが、GVA では以前から Google スプレッドシートを使って、全ての弁護士が全案件を見られるように管理していました。一般企業の「顧客管理」に近い感じです。

しかし、データが蓄積するにつれて動作が重くなるという問題と、複数のスプレッドシートや請求処理のために事務局が使う Excel、会計ソフトなど、色々な場所にデータが点在し、二度手間や集計ミスが生じるという課題を抱えていました。そのため、以前からシステム化を検討していたのですが、なかなかうまく行かなかったのです。

 

最初に導入したのは Salesforce でしたが、これは開発に着手する以前の、要件定義の段階から難航しました。

一般企業と比べて、法律事務所の業務フローや、売上=報酬体系には特殊な面があります。特に GVA の場合は、法律事務所の中でも珍しく複数の報酬体系を持っているため、開発を担当してくださったベンダーさんにここを理解していただくのに非常に苦労しました。いつまでも要件定義が終わらず、当時は所内で「いつシステムできる?」「…いつですかね?」なんて会話がされていたくらいです。

結局、開発は遅々として進まず、また、所内に情報システム担当やエンジニアがいるわけでもないので、仮に開発が完了したとしてもカスタマイズの PDCA も回せないことが理解できたため、Salesforce の利用を断念しました。おそらくシステムとしては大きすぎたのだと思います。

Salesforce に代えて次に導入したのは、Airtable というスプレッドシートとデータベースを合わせたようなクラウド・サービスでした。エンジニアでなくても No Code でカスタマイズを行うことができるので、案件管理は比較的うまく行き、1 年半くらいはこの体制で回していました。

案件管理だけで見ると良かったのですが、集計して経営指標として分析する部分には課題がありました。また、弁護士の稼働工数の管理や、そこからひも付いての請求処理までは行えておらず、結局、事務局は月末月初になると Google スプレッドシートや Excel を常にいじっているような状況でした。

▲業務設計のヒアリングでお伺いした課題感

外部環境の変化が激しい現代のビジネスにおいて、経営の判断を迅速に行うことは必要不可欠です。それは、GVA が支援しているスタートアップ企業のみならず、GVA 自身にとっても同じです。経営判断を迅速化するためには、案件管理や収支管理を正確に行い、タイムリーに数字を把握できるようにしなければなりません。

私自身が、ボードメンバーとして経営の意思決定に携わる立場なので、実際に経営数字を作り、分析する視点からシステムを作りたいという気持ちが強くなっていました。

なぜ、リベロ・コンサルティングに業務設計を依頼しようと思いましたか?

先ほどお話ししたように、Salesforce 導入の際に「法律事務所独特の要件」を理解してもらうのに非常に苦労したので、業務設計士である武内さんが同じ士業(税理士)であり、またご自身も企業の管理部門での実務経験を持っているという部分の安心感は大きかったですね。業務理解の部分で、当初の打ち合わせから非常にスムーズに話が進められたと思います。

また、一般的なシステム開発会社と違い、業務設計のフェーズと、システム開発のフェーズがそれぞれ独立しているというのもポイントだったと思います。

両方を同じ会社で行っていると、業務の設計はそこそこに開発フェーズに移行してしまいがちです。一方、リベロさんの場合は業務設計はリベロ・コンサルティングが行い、システム開発は外部のベンダーさんと連携して行うという二段構えなので、GVA の現在の業務フローや抱えている課題、そして、実現したい姿を十分に理解してもらった上で設計を行い、システム開発に進むことができたのが良かったですね。

▲既存業務の仕組みを文書化=可視化した上で、業務設計を実施

業務設計とシステム導入の結果、どうなりましたか?

kintone と TimeCrowd を軸としたシステムの運用が始まって半年ほどたちますが、非常に効率的になったと思います。

TimeCrowd で稼働工数を管理するようになり、各弁護士の正確な稼働が分かるようになりました。稼働がきちんと管理できていないと、契約時間をオーバーしたときに追加請求もしづらいのですが、データが残っていればお客様にも説明しやすいですからね。また、工数管理の正確なデータがあることで、所内での業務見直しなどのコミュニケーションを取る際の材料にもなります。

お客様との業務量の調整もそうですし、事務所と弁護士との間でも「この業務にこれだけ時間がかかっているけど、本来取り組むべきはこっちだから、改善しよう」というように、改善ポイントの話がしやすくなる。

弁護士自身も「時間」と「お金」の感覚を持つようになったと思います。忙しい人ほど、続けて仕事をしたり差し込みが多いので時間の管理はなおざりになりがちですが、時間が可視化されたことで「この時間は集中して作業しよう」「メールはこの時間でまとめて返信しよう」というように、業務効率化の話も出るようになりました。

最近では、リモートワークも積極的に取り入れていますが、離れている場所で働いているメンバーの成果をどのように測るのか、悩んでいる企業さんも多いと聞きます。誰が・何を・どれだけやっているかが可視化されたことで、事務所であってもリモートであっても、場所を問わない働き方ができるようになりましたね。

もっとも良かったことは、案件と稼働の管理、そして請求が一つのシステムにまとまり、そこから経営指標にひも付いて、タイムリーに見ることができるようになったということです。これは、スピード感を持って最適な経営判断を行っていくために、絶対に必要なことではないかと思います。

これから取り組みたいことは何ですか?

GVA は 2017 年にタイ現地にオフィスを開設し、IT スタートアップ企業の海外進出や、海外から日本の IT スタートアップ企業への出資の支援にも力を入れています。今後は海外チームとの連携も視野に、システムを発展させていきたいですね。

私たちの想いは「世界中の挑戦者を支えたい」ということなんです。現在オフィスがあるのはタイだけですが、東南アジアに限らず、世界中のベンチャー・キャピタルと日本のスタートアップ企業とを結んで、彼らが世界へ挑戦するための支えになりたい。

そのために、我々が持っている「弁護士という資産」を最大限活用できるよう、更なる効率化に取り組みたいと考えています。

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